🧠 催眠とは何か|正しい理解と誤解を整理する

本内容は、臨床心理士・公認心理師として 医療・教育・福祉分野での実践と研究をもとに解説しています。

 

催眠とは何ですか?

催眠とは、ある人物が他者や状況を注意深く観察しながら、通常は意識されない状態に注意を向けるように「特殊な」会話や合図(暗示)を用いる過程において、人間が本来有している心理的・生理的反応や機能、能力が顕在化した状態である(長谷川,2019a)。
特別な能力ではなく、誰にでも起こり得る自然な現象です。


催眠にはどのような種類がありますか?

催眠は以下の5つに分類できます。

  • 対人支援(カウンセリング、心理療法)
  • セルフケア(自己催眠)
  • 研究(主に心理学・医学からの科学的探究)
  • エンターテインメント(舞台催眠など)
  • 個人の嗜み(趣味的利用)

用途によって意味や役割が大きく異なります。


催眠を学ぶ目的は何ですか?

主な目的は以下の通りです。

  • 人間理解を深める
  • 人を支援する
  • 自己理解・セルフケア

「人を支配するために使う」という考えは誤解であり、適切ではありません。


催眠で人を思い通りにできますか?

できません。

催眠によって人を操ることはできず、信頼関係が基盤にあって本人の意思と協力が必要です。


催眠は特別な能力ですか?

いいえ、特別な能力ではありません。

催眠は人間が有している自然な現象であり、誰でも経験することが可能です。


なぜ催眠は誤解されるのですか?

主な理由は以下です。

  • テレビなどのエンタメ演出
  • 日常で経験しにくい現象
  • 情報不足
  • 心理学や医学の専門家は、学会や職能団体の倫理規定で催眠を用いて娯楽目的の活動関与を禁じられている

催眠講座は高額でも価値がありますか?

催眠誘導の基礎は短時間で理解可能です。

高額講座を検討する際は以下を確認してください。

  • 学ぶ内容
  • 根拠
  • 目的との一致

催眠療法を受ける際の注意点は?

以下を確認してください。

  • 臨床心理士・公認心理師などの資格(催眠ができて資格を有している方は少数)
  • 訓練・研修歴・催眠に関する資格
  • 所属学会・職能団体※(倫理遵守が求められた組織に所属しているかどうか)
※日本催眠医学心理学会や日本臨床催眠学会に所属している方を勧める

催眠のみを看板にした機関には注意が必要です。

 

 

催眠を学ぶ際の注意点

  • 目的を明確にする
  • 内容を確認する
  • 費用に見合うか判断する

【催眠の知識を深める①】 

臨床心理学の歴史–催眠を基軸として-

2015,東洋英和女学院大学心理相談室紀要18巻, p56-66

催眠を基軸として起源から現代までの臨床心理学の歴史を振り返った。構成は大きく3部に分けた。第1部は、原始治療から精神分析的心理学までである。第2部は、ドイツでの心理学の成立からアメリカでの臨床心理学の創始期、そして行動科学との関連に注目している。第3部は、日本における心理学に関する専門職の国家資格の歴史について述べた。

 

【催眠の知識を深める②】

催眠療法

2001,心療内科,第5巻第5号, pp336-341

催眠に対する誤解をとき、理解を深めるために誘導のプロセスについて説明を行った。「定式的な催眠誘導法」だけでなく近年注目が集まっているミルトン・エリクソンに始まる「自然な催眠誘導法」についても解説を行った。 

 

【催眠の知識を深める②】 

催眠は時代遅れか? 心理療法統合におけるMilton H.Ericksonの逆襲─Milton H.Ericksonの実践におけるコア・コンピテンシーから考える─

2026,帝京大学心理学紀要 第30巻, p. 1-16 

催眠を心理療法統合からみる上でミルトン・エリクソンを枠組みとして取り上げました。

またミルトン・エリクソンの事例を再構成して紹介しています。

 

この記事のポイント ・催眠は自然な心理現象 ・人を操ることはできない ・用途によって分類される ・専門的な理解が重要