臨床心理学を学ぶ(実行する①-個人を支援するアプローチに注目して-)


 

長谷川明弘

臨床心理学を学ぶ「その5」:実行する①-個人を支援するアプローチに注目して-,

2020, 東洋英和女学院大学心理相談室紀要23巻, pp.31-39.

2020年12月1日

 

本論は、心理療法(psychotherapy)やカウンセリング(counseling)といった心理学的な立場からの対人支援法に関して特に個人に向けた支援に用いるアプローチを中心にまとめる。

 

カウンセリングは、精神的健康度の高い人を対象にしており、肯定的な面に比重を大きく置く。一方、心理療法は、精神的健康度の高低を問わない広範囲な適応対象を持っており、カウンセリングを包括する概念である。

 

本論では両者を総括して心理学的支援法と呼称する。心理学的支援は、訓練を受けた専門家が心理学的な理論・モデルに基づいた心理療法、カウンセリングといった手段・方法を用いて、個人や家族、組織・集団や地域に対して支援することを指している。相談に来た人をクライエント(client)、相談を引き受ける人を一般にセラピスト(therapist)やカウンセラー(counselor)と呼んでいるが、本論ではそれぞれクライエント(Cl)とセラピスト(Th)という形で表記する。

 

個人に向けて主に用いられるモデル(理論)は、精神分析・精神力動といった個人内界や認知と行動、そして人間学・実存を主に取り上げる。具体的には、精神分析モデル、人間学モデル、認知行動モデルを中心に説明し、その他のアプローチとして催眠法と臨床動作法を取り上げた。

 

 

心理学的支援法は、理論的な知識面の理解の深まりと実践を通じた学びそして適切なスーパービジョンによって習得されていく。スーパービジョン(supervision)は、経験豊かなスーパーバイザーが経験の浅いスーパーバイジーに対して助言や指導をすることで技能の向上を図る研修・養成形態のことでその種類と解説をした。

 

▶キーワード:深層心理学(depth psychology)や精神分析的心理学(Psychoanalytic Psychology)モデル、人間学・実存主義モデル、認知行動モデル、催眠(hypnosis)、臨床動作法(Clinical Dohsa-hou)

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実行する①-個人を支援するアプローチに注目して-
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