臨床心理学を学ぶ「その6」(実行する②-家族・集団を支援するアプローチ、統合やブリーフの観点-)


 

長谷川明弘

長谷川明弘 臨床心理学を学ぶ「その6」

:実行する②-主に家族・集団を支援するアプローチに注目し、その他に統合やブリーフの観点を取り入れて,

東洋英和女学院大学心理相談室紀要25・26巻, .pp.23-32.

2022年12月31日

 

本論は、心理療法(psychotherapy)やカウンセリング(counseling)といった心理学的な立場からの対人支援法に関して特に集団を対象にしたモデルとして、家族療法やブリーフセラピーを中心に取り上げ、その他の心理学的支援モデルとして遊戯療法、箱庭療法、自律訓練法、EMDR等を説明して、ブリーフサイコセラピー、統合的なアプローチ、心理療法統合に向けて心理学的支援を橋渡しする側面から催眠について解説する。最後に、心理学的支援を裏付ける哲学や態度、臨床哲学について言及する。個人に向けた支援に用いるアプローチを中心にまとめる。

 

精神分析が産声を上げてまもなくの20世紀初頭に家族療法(Family Therapy)が誕生しており、1950年前後以降に様々な考え方が出現して現代に至る(日本家族研究・家族療法学会(編) ,2003;Hoffman,1981,2002)。また20世紀初頭にマジックミラー(one‐way mirror)が開発され、1950年代以降に面接室での行動観察や心理専門職養成のために普及したようである。

 

▶ブリーフセラピーは、効果的で効率的なアプローチを希求し続ける心理療法の実証研究や実践活動を参考にして、エリクソンによる臨床実践とサイバネティックスを精神医学に導入したしたベイトソンの認識論をモデルの中核に位置づけながら、相互作用論に立脚して問題解決のためにセラピストとクライエントの協働によって出来るだけ短期間に変化をもたらそうとする心理療法と定義する(de Shazer,1985;宮田,1994,1999;長谷川,2019b)。ブリーフセラピーと呼称する利点は、家族内外の個人対個人という個人間、地域・組織内の集団対個人という枠組みで事象を捉えることが可能であり、さらには個人内の認知過程を要素として想定することが可能となろう。

 

ナラティブ・アプローチ、オープンダイアローグの背景と特徴を概説した。その他の心理学的支援法としては、集団療法としては心理劇、エンカウンターグループ、そして交流分析、森田療法、内観療法について言及し、遊戯療法、箱庭療法、自律訓練法、EMDRについて若干の解説を加えた。

 

ブリーフサイコセラピーと統合的アプローチの定義を示し、その上で催眠を統合的アプローチを実践する面から取り上げて、様々な心理療法の発端となった催眠へと原点回帰してから展開していくことを提案した。

 

最後に、倫理観を含む哲学・態度がないまま技法を優先する姿勢は、セラピストが独りよがりに陥る危険を伴いやすいことを指摘し、臨床現場で取り上げられる話題を取り上げて思索し答えを見いだそうとする哲学や態度・姿勢や現場にいる中から当たり前の生活を営む人間の存在を考え続ける姿勢を持つことを大切にすること(奥村・池山,2022)の重要さに触れた。 

 

▶キーワード:家族療法(family therapy)、ブリーフセラピー(brief therapy)、ブリーフサイコセラピー(brief psychotherapy)、統合的アプローチ(integrative approach/ integrative psychotherapy)、催眠(hypnosis)、臨床哲学(clinical philosophy)

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